年末年始無災害運動(三重医報 第685号掲載)

 勤務環境改善は、労働条件を整え職場の安全対策を推進して、働く方が働きがいを感じ安心して能力を発揮できる職場づくりが大切ですが、本号では、労働災害が多発する年末年始に昭和46年から厚生労働省が後援して中央労働災害防止協会が主唱する「年末年始無災害運動」をご紹介いたします。

 労働災害は、労働者の不注意・不安全な行動と職場の施設・設備の不安全な状態が関わって発生するもので、災害防止には、労働者の安全な作業習慣・安全な勤務環境を管理する安全管理担当者の役割が大切であり、無災害運動の標語は「異常なし! ダブルチェックで念入りに 年末年始もゼロ災害」として啓発されています。

 全国全産業での労働災害は長期的には減少傾向にありますが、平成24年以降は増減を繰り返し、平成28年は117,910人(休業4日以上、1人平均60日の療養のための休業)の労働者が被災しており、この内、医療・福祉事業では8281人を占め、100万労働時間あたりの災害頻度を表す「災害度数率」では建設業・製造業より危険度が高い状況にあります。
 最近の災害増加傾向の要因は「非正規労働者など業務経験の浅い労働者や高年齢労働者の増加、長時間労働、若年労働者の危険感受性の低下、機械設備の老朽化」等によるものと考えられていて、これらに対しての災害防止対策推進が重要であり、関連して、健康障害防止のための「ストレスチェックの効果的な運用によるメンタルヘルス対策の強化、化学物質リスクアセスメント実施、腰痛予防対策」も推進していただきたいと思います。

 労働安全衛生法では、医療の事業において安全管理者の選任を義務としてはいませんが、労働契約法では使用者の安全配慮義務を厳しく規定していることも踏まえて安全管理体制を確立し、例年災害多発が見られる年末・年始の時季に、特に、業務場所移動時の転倒、無理な動作・不自然な姿勢の作業での腰痛が多く発生している状況の改善に取組まれますようお願いいたします。

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