労働契約法7(三重医報 第692号掲載)

 2月号で「労働契約の有期・無期(正規・非正規)による処遇の公平性」について説明をいたしましたが、本年6月1日、賃金に関しての非正規格差訴訟についての2件の最高裁判所判決がありましたので、均等考慮の参考としていただくため判決内容を考えてみたいと思います。

 最高裁は、労働契約法20条の法意は「正規・非正規での労働条件の違いがあることを前提に、違いに応じた均衡のとれた処遇を求めるもの」として、格差については「(1)職務内容」「(2)異動や配置変更の範囲」「(3)その他の事情を考慮して不合理があれば使用者(会社)は損害賠償責任を負うと判断しました。

 一つの判決は定年後再雇用での賃金引下げ」の妥当性が争われましたが、この事件では、定年前と再雇用での「職務内容」「異動や配置変更の範囲」は同じと判じたうえで、定年制は長期雇用の賃金抑制制度で後に老齢厚生年金も予定されているとして「その他の事情」があると認め、基本部分の給与(能率給・職務給を含む)については一定の格差は不合理でないと判断しましたが、手当については支給する目的を個別に分析して、「精勤手当」は出勤を奨励する趣旨であり格差があるのは不合理、「この格差で時間外労働割増賃金算定基礎賃金が相違するのは不合理」として賠償を命じました。

 もう一つは、非正規労働者の手当支給基準の格差が争われたものですが、転居を伴う異動がある正職員との格差を認めた「住宅手当」の他は、「皆勤手当・無事故手当・作業手当・給食手当・通勤手当」について格差を設けることは理由がなく不合理として、賠償金支払いを命じる判決になりました。

 国会では「働き方改革関連法案」が審議され「有期・無期雇用契約での同一労働同一賃金」についての労働契約法改正が進められていますが、民事紛争の場では「非正規職員だから、有期契約職員だからというだけでの処遇格差は、既に認められないものになっていることにご留意ください。

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