新型コロナウイルス労務管理4(三重医報 第716号掲載)

新型コロナウイルスに関係する労務管理について4

 三重県の新型コロナウイルス感染症は、3月に1人の方の感染が確認されてから4月24日に累計45人(亡くなられた方1人)となり、その後、新たな陽性者は出ない状況が続きましたが6月19日に介護関係の方が再陽性となられ、濃厚接触等での感染拡大が心配です。
 全国の状況は、5月25日にすべての都道府県の「緊急事態宣言」が解除されたものの、その後も感染終息には至らず、今後は一定の感染に止めながら社会全体で大きな第2波・第3波の感染拡大を防ぐ「新しい生活様式」を徹底してゆくことが求められています。

 この状況の中、厚労省労働基準局長から各労使団体に「職場における新型コロナウイルス感染症への感染予防、健康管理の強化」が呼びかけられ、職場で活用していただく「感染予防チェックリスト」も示されていますが、感染拡大防止の「基本的対処方針(政府の感染症対策本部発出)」では各業種団体が業務に即した「感染症対策ガイドライン」を策定するよう要請もされており、医療の職場では一般の企業のように感染源への近接・接触を避ける基本的な感染防止措置を講じることはできない勤務環境を踏まえて、日本環境感染学会からは医療機関の「ガイドライン」が発出されています。

 医療の職場状況としては、全国で102の医療機関で集団感染が発生しており、医師・看護師の感染は550人(6月18日現在)で、今後、新型コロナウイルス感染拡大の防波堤となる医療機関におかれましては、感染が疑われる「発熱症状の外来診療」への注意深い対応を続けていただくことになりますが、的確な診療体制確立の趣旨からも、医療従事者自身の感染症防止措置について「労働安全衛生法・労働契約法の健康管理・安全配慮規定」を紐解くまでもなく徹底していただきたいと存じます。

 今、季節的に、症状が酷似する熱中症多発とも重なり、多くの医療機関でストレスが高まる状況が続くと思いますが、本年度7月1日〜7日の全国安全週間のスローガンにも“みんなで改善 リスクの低減”と掲げられており、感染予防を一時期の対策としてではなく継続して取り組むテーマとして、当センターがお勧めしております「医療勤務環境改善マネジメントシステム導入手引きを活用して職場改善委員会」等を設置され、安心して働ける、働きやすい職場作りと位置付けて推進していただきますようお願いいたします。

 なお、本年度の実施を延期しております労務管理セミナー・研修会は、年度後期に開催を予定しておりますので、準備が整い次第、当センターのインターネットホームページ等にてご案内申し上げます。

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