医師の時間外労働短縮計画策定2(三重医報 第730号掲載)

医師の時間外労働短縮計画策定について2

 労基法改正による令和6年4月1日からの「医師の時間外労働上限時間規制」に関わって、上限を越えざるを得ない「特定労務管理対象機関(地域医療確保特例→B・連携B水準、集中的技能向上→C水準)」の県知事からの指定を受けるために必要な「医師の労働時間短縮計画(以下、医師時短計画という)」策定につきまして、先月号で、ガイドライン案に示された「作成例」はインターネットで検索(医師の働き方改革推進検討会)できることを紹介しましたが、その後、8月4日(第13回)の同検討会資料で一部修正されていますので、計画記載事項等を確認いただきたいと思いますが、冒頭に述べました「指定申請時用」と、法的には策定が努力義務ですが申請時の取組評価材料とされる「法律施行前の期間用」の2種がありますので、特定労務管理対象機関となる予定の医療機関では、先ず「法律施行前の期間用」の策定を行い、その成果を踏まえて令和5年度までに「指定申請時用」の計画案策定をしてください。

ガイドライン案に示された医師時短計画記載事項(法律施行前)は以下のとおりです。
〇 「対象医師」は、時間外・休日労働合計が年間960時間を超える医師数を、診療科別・研修プログラム/カリキュラム単位で区分して記す。
【労働時間・組織管理項目】は、以下の項目の前年度状況・取組状況と当年度・計画期間終了時の改善目標を記す。
① 対象医師の区分別に、時間外・休日労働時間数、人数・割合
② 医師の労務管理・健康管理として、〇労働時間管理方法・宿日直許可の有無を踏まえた労働時間管理 〇研鑽の労働時間該当性明確化 〇労働時間等設定の労使協議・適正な36協定 〇衛生委員会・産業医活動・長時間労働医師面接指導の実施体制 〇追加的健康確保措置
③ 管理者自らのマネジメント意識啓発、または医師の働き方意識改革のための研修
【医師時短計画の策定プロセス】を職員等に説明事項として記す。
【医師の労働時間短縮に向けた取組】は、以下の項目の現在取組状況と目標を記す。
タスクシフト/シェア(職種に関わりなく、又は、職種ごとに)の推進
医師の業務の見直し(外来業務、宿日直体制・分担、宿日直中の業務、オンコール体制、主治医制→どれか1つ以上を選択)の推進
その他勤務環境改善(ICT等の設備投資、仕事と家庭の両立支援、更なるチーム医療→どれか1つ以上を選択)の推進
兼業を行う医師があれば、その労働時間管理(兼業先の労働時間も踏まえた勤務シフト管理、兼業先との勤務調整、兼業先への時短協力要請→どれか1つ以上を選択)の推進
臨床研修医・専攻医研修での長時間勤務の該当があれば、その効率化(教育カンファレンス・回診の効率化、学習環境充実、研修目標設定・計画作成→どれか1つ以上を選択)の推進

・・・この記事は、担当アドバイザー(加藤三郎)の技術的助言です。ご了承ください。・・・

なお、法律施行前の医師時短計画は、できれば本年度内には作成いただきたく、「作成例」に説明を加えた参考資料(ワード形式)のご提供も準備して、ご相談をお待ちしていますので、電話・FAX・メールにて当センターあてお問い合わせください。

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