副業・兼業留意事項(三重医報 第732号掲載)

医師の副業・兼業勤務での留意事項について

先月号では、医師の副業・兼業勤務での宿日直について「断続労働」の許可申請ご検討をお願いいたしましたが、本号では兼業受入れ側の医療機関がご留意いただきたいことを説明いたします。

① 令和6年4月1日から、医師の時間外労働上限時間が「1年960時間」に制限されますことはご案内のとおりですが、大学病院・地域医療支援病院(大学病院等と称します)の勤務医が地域医療提供体制を確保するために他の医療機関での兼業勤務を許可している場合に、大学病院等が、県知事の適用除外暫定特例(連携B水準といいます)認証指定を受けていただくと、大学病院等と兼業先医療機関は、時間外労働限度時間を各々1年960時間以内として36協定を締結できることになりますが、大学病院等が知事からの「連携B水準」の認証指定を受けない場合は、大学病院等と兼業先医療機関の時間外労働は双方を合計して1年960時間が上限となります。
 現在、大学病院等の勤務の休日・時間外に、副業・兼業として勤務(休日夜間診療・病棟宿日直等)する医師を受け入れておられる医療機関におかれましては、改正法施行以降も、副業・兼業勤務を続けることができるかの大学病院等への確認が必要ではないかと思います。

② 大学病院等が「連携B水準」の認証指定を受けて、引き続き副業・兼業での医師勤務が確保された場合、①でも触れましたが、複数事業場での勤務は「労働時間は通算する」ことになりますので、大学病院等で法定労働時間一杯の勤務をする医師を受け入れておられる医療機関では、労基署長からの宿日直許可を受けていない当直・日直は当然ですが、他の職員の所定勤務時間内の勤務であったとしても始業から時間外労働として管理することになります。
 大学病院等での勤務がパート就労で、例えば「1日6時間勤務、週休2日、休日時間外勤務なし」の勤務医を兼業勤務として受け入れている場合は、大学病院等だけで見ると、1週10時間の法定内労働時間が残っていますので、副業・兼業先医療機関では1か月単位の変形労働時間制とした場合は1か月40~44時間(小・大の月で相違)の法定労働時間内の勤務(所定勤務時間として)と管理することができますので念のため申し添えます。

③ 副業・兼業は、受入れ先医療機関が新たに雇用契約を締結するのですから「雇用契約書・労働条件通知書」交付が必要であることはいうまでもありませんが、労基法第15条(規則第5条)に明示する必要事項が定められていて、多くの医療機関で「モデル労働条件通知書(厚労省)」を修正してお使いのことと思いますが、副業・兼業では、労働時間の通算管理等での必要事項もあると思いますので記述をお忘れなきようご留意ください。

・・・記事の中の種々解説は法的助言でなく、担当アドバイザー(加藤三郎)の技術的助言です。ご了承ください。・・・

医師の「断続的な宿直又は日直勤務許可申請」をお考えのときは、電話・FAX・メールにて当センターあてお問い合わせください。参考資料をご提供いたします。

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