医師の勤務実態把握(三重医報 第733号掲載)

医師の勤務実態把握について

 労基法改正による医師の時間外労働上限時間の規制が令和6年4月1日から施行されることに関して、地域医療の確保・集中的な研修実施の観点から、より長い限度時間を適用する「特定労務管理対象機関(以下、特定対象という)」の知事からの指定を受けるための「医師の労働時間短縮計画作成」につきましては、本誌(本年7~9月号)にてご案内しておりますが、この計画作成にあたっては、医師の勤務状況の現状を把握したうえで勤務環境改善対策を推進していただく内容であることが求められています。

 労働時間短縮計画策定ガイドライン(厚労省)に示された「作成例」では、現時点での医師の勤務状況として、時間外労働時間の長い診療科等の時間外労働平均値・個別の最長時間数、及び、法改正後の時間外上限時間・特例限度を超える人数・割合を把握して、その改善目標を設定するモデルを例示していますので、その限りにおいては、特定対象の指定を予定される医療機関では労働時間管理簿等のデータから医師の勤務時間の現状把握ができるものと思いますが、特定対象の医師の年間960時間を超える時間外労働に限らず、一般職種での限度時間(年720時間)を超える時間外労働を行う医師も含めて、改正医療法に定める「医師の働き方改革(長時間労働の医師の労働時間短縮・健康確保のための措置の整備)」を実効あるものとするためには、できる限り詳細な「医師の勤務実態把握」をすることが望ましいと思います。

 本年7月には、医師の働き方改革推進検討会から「大学病院を主たる勤務先とする医師の勤務実態調査」の結果が発表され、多数の医師の副業・兼業、特定診療科の長時間労働等の課題が浮かび上がっていますが、厚労省では、この調査に用いられた「調査票・集計システム」を大学病院以外でも活用できるように改変して、各医療機関で労働時間短縮計画作成の基礎データ把握に活用いただけるよう医療勤務環境改善支援センターを通じて提供(無料)させていただくことになりました。

〇 WEB「いきいき働く医療機関サポート(検索いきサポ)」の「役に立つ情報」→「国の施策情報」に案内が掲載されています。

 このシステムは、各医療機関が勤務医の皆さまの協力を得て、1週間の勤務実態を調査票に記録して提出していただく方法で集約していただき、ご提供する支援ツール(エクセル自動計算形式)で、勤務部署(診療科等)別、又は、個々の医師ごとの勤務環境改善テーマを分析する基礎データが得られる仕様で、メールにて、取扱いについての説明・手引きもセットで提供いたしますので、是非、当センターまでお申込みください。

当センターでは、電話・メール等で労務管理全般のご相談をお受けしております。ご利用ください。

戻る

このページの先頭へ